みたまま

2018年5月20日 (日)

【きょうの調べ物】狂犬病予防法と動愛法~小樽市の問題にふれて

横井さん、という猫がいました。ツイッターをやっている猫飼いの人ならたいていは知ってるはずの猫なんですが、1年ほど前に急逝。その横井さんを最初に保護した札幌市の団体、ツキネコのブログをこまめにチェックしてます。

最近の記事、小樽市の問題を伝えたい⑥ (2018/5/18)が気になってあれこれ調べてみました。問題の要点は、小樽市の保健所には犬の収容施設はあるが、猫のはない。そのため、引き取った猫は(ボランティア団体による引き出しがかなわない場合は)すぐに殺処分せざるを得ないのが実状。

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まず、狂犬病予防法と動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)では、実施の主体の規定が微妙に異なります。

                         
狂犬病予防法(地域保険法) 動愛法
都道府県 都道府県
政令で指定する市 指定都市 指定都市
中核市 中核市

小樽市
町田市
藤沢市
茅ヶ崎市
四日市市
大牟田市

政令で指定する市
(現在は指定なし)
特別区 政令で指定する特別区
(現在は指定なし)

狂犬病予防法に基づく犬の収容施設は、都道府県または保健所が設置されている市、特別区が担当します。保健所が設置されていない市町村は都道府県が担当します。

動愛法に基づく犬・猫の収容施設は都道府県または指定都市、中核市が担当します。指定とし、中核市以外の市区町村は都道府県が担当します。

したがって、保健所設置市で指定都市、中核市以外の市(狭義の保健所政令市または地域保険法施行令第一条三号で規定されていることから三号市、と呼ばれます)と特別区には、犬の収容施設はあるが猫のはない、ということになります。

動愛法第32条の2では、都道府県知事(指定都市、中核市の市長)は「引き取るべき場所を指定することができる」としており、北海道では「道立保健所」を指定しています

ところが、(当然ですが)道立保健所は保健所設置市は管轄していません。北海道の保健所設置市のうち、指定都市である札幌市、中核市である函館市、旭川市は、動愛法の業務について市の条例で規定しており、札幌市市役所、市立函館保健所、旭川市動物愛護センター「あにまある」が、それぞれの市の窓口になっています。北海道では小樽市だけが猫の引き取りの担当から、すっぽり抜け落ちているのです。

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このような現象は、小樽市以外の三号市や特別区でも起きていそうですが、調べてみるとそうではなさそうです。

                                       
窓口収容施設
特別区東京都動物愛護相談センター 本所
三号市町田市町田市保健所東京都動物愛護相談センター 多摩支所
藤沢市藤沢市保健所神奈川県動物保護センター
茅ヶ崎市茅ヶ崎市保健所
四日市市四日市市保健所三重県動物愛護センター「あすまいる」
大牟田市大牟田市保健所

上表のように、特別区は保健所には窓口はなく、都の収容施設が窓口になっています。大牟田市は保健所が窓口で収容施設も設置しています(譲渡事業も行っている)。その他の市は保健所が窓口で、引き取った動物は都県の収容施設に移送されます(譲渡事業も行っている)。

どうも、保健所設置市と都道府県とで連携ができていないのは、小樽市と北海道だけの現象のようです。

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小樽市に猫の収容施設がないのは法令にしたがってのことで、現状はやむを得ないような気がします。小樽市保健所でもこのことを問題にとして、なんとかしたいと思っておられます。

第一には、動物の収容について定める2つの法律で差異があること。動愛法第35条でいう「その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)」で、三号市(必要であれば特別区も)指定して、狂犬病予防法と平仄を合わせるべきではないか、と。

第二には、動愛法第35条の2にしたがって、北海道知事が引き取り場所を指定するときに、道立保健所だけでなく、三号市が設置する保健所も指定するべきではないか、と。

全国の他の市区の例を見る限り、後者のほうに原因があるように思えます。

しかし、小樽市で引き取った動物は道立保健所に移送するというのは現実的ではないでしょう。小樽市が属する後志管内の保健所は倶知安保健所と岩内保健所です。

小樽市保健所を引き取り場所に指定し収容施設を設置する(譲渡事業も行う)方策を講ずるべきではないでしょうか。

2018年4月16日 (月)

【切り抜き】公文書改ざん、加計問題、日報隠し 「倒閣」だけでは解決せず 東浩紀さんに聞く(毎日)

Facebookに書いた記事で引用した記事。
https://www.facebook.com/mochizuki.kazuo/posts/1169371256533237

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特集ワイド

公文書改ざん、加計問題、日報隠し 「倒閣」だけでは解決せず 東浩紀さんに聞く

評論家の東浩紀さん=東京都品川区で2018年4月11日、丸山博撮影

 木を見て森を見ず--。国会は全体を見渡す視点を失っていないか。次々と発覚する政権を巡る不祥事に、野党は安倍晋三首相の責任を追及している。だが、民主主義の危機を感じている評論家の東浩紀さんは「トップだけ代えても解決しない」と見る。問題の本質はどこにあるのか。【小松やしほ】

安倍晋三首相(右)。左は麻生太郎副総理兼財務相=2018年4月11日、川田雅浩撮影

民主主義国家の基礎は脅かされた 末端の現場も処罰すべきだ

 東さんのオフィスは、東京・五反田にあるビルの一室。壁一面は書籍で埋まっている。落ち着いた雰囲気の中で、穏やかならぬ言葉を口にした。「今回の財務省による公文書改ざん問題で、民主主義国家の基礎は脅かされたと言っていい」

 いきなり厳しい現状認識を聞いて戸惑いの表情を浮かべたからなのだろうか、東さんは説明を続けた。「国会が、行政府に求めて差し出させた文書に改ざんがあったということは、立法府による行政府の監視が働いていないということ。つまり三権分立が機能していないという状態であり、民主主義の危機なのです」。憂いは深い。

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題が発覚した1年前は、三権分立が揺らいでいると認識していなかったばかりか、しばらくすると問題に対する関心も失っていたという。

 問題発覚当初は安倍政権による違法な便宜供与の有無が疑惑の焦点だったが、違法性は明らかにならなかった。「野党やメディアの追及は違法性から『忖度(そんたく)』に変わっていきました。忖度にこだわる野党の戦略は『反安倍感情』に依存したポピュリズムにしか見えなかった」。堂々巡りの論戦が続く国会に対し「そろそろ“政局劇場”はやめるべきだ」といら立ちにも近い感情が湧き上がった今年3月。公文書改ざん問題が明らかになり「事態は一変した」。政府が国会に偽造した文書を提出したことはあまりにも衝撃的だった。

 この事態に安倍首相の責任を問う声は根強く、政界では「内閣総辞職」というシナリオもささやかれている。しかし、東さんは「安倍首相が退陣しても問題の解決にはならない」と断言する。トップを代えるか否かという問題はいわば「木」だ。東さんがもっと見極めなければならないと考える「森」とは何か? 「行政府を預かる官僚の体質が問われています。これを機会に文書改ざんができてしまう体質を変えなければならない」

 森友関連の文書では14件、約300カ所もの改ざんがあった。当然、誰かが責任を取って処罰されるものと考えていた東さんは3月13日付の毎日新聞の記事に目を奪われた。検事だった郷原信郎弁護士のコメント。「公文書の信頼性を著しく損なう許し難い行為だが、刑事罰に問うのは容易ではない」との指摘だった。その記事には、公文書を書き換えても作成した職員の同意があれば公文書偽造や変造の罪には当たらない--などとも書かれていた。

 「今回の件は、官僚の誰かが実際に文書を改ざんしたわけです。キーボードを打ったこと自体が国民への裏切りであり、その人が特定され処罰されない限り、同じことは繰り返されてしまう。組織のトップを処罰するのは当然ですが、末端の現場を処罰することも大切です。安倍政権を倒すことに注力するあまり、改ざんに手を下した現場の官僚を免責にしてはなりません」。きっぱりと言い切った。

 現場が処分されることになれば、さらに隠蔽(いんぺい)体質を強める--。そんな疑問が湧く。東さんはこう答えた。「現場を処罰しない方が、未来に対してダメージが大きい。上司の指示通りに行った改ざんが発覚したとしても、上司が守ってくれるという悪い前例ができてしまうことになります」

 そうはいっても上司の命令に「ノー」は言えないのが世の常。しかも上司が人事権を握っていればなおさらだ。それを分かった上でも東さんの考えはぶれない。

 「もし上司から『コンビニで食べ物を盗んでこい』と命令されたら実行しますか? しないでしょう。なぜなら自分が処罰されると分かっていますから。処罰されると分かっていれば人は不当な命令に従いません。従って上司も命令できなくなる。逆に命令できるということは、犯罪に手を染めても、上司がかばってくれるという“信頼”があるということですよ」

 防衛省のイラク日報隠し、加計(かけ)学園問題を巡る首相官邸の関与疑惑……安倍政権の不祥事発覚に歯止めが掛からない。東さんは「政権の指示が明らかになれば無論、内閣総辞職など責任を取る必要はある」と見ている。それでも、野党は安倍首相が関与したかどうかの追及、さらに内閣を倒すことに関心を持ちすぎていると感じている。一言で表現すれば「単純な世界観になってしまっている」。

 誰が実際に公文書を改ざんしたのか。誰からの指示だったのか。その追及が中途半端に終わっていることに違和感を持っている。「公文書は国民の財産であり、民主主義の根幹をなす文書です。それを偽造するのは許されません。だから現場で携わった人を特定して、具体的に命令方法などを明らかにする必要がある。佐川宣寿前理財局長ら財務省幹部が関与したか否かだけでなく、改ざんの場所はどこか、時間はいつか、命令は口頭だったのかメールだったのか、全て明らかにしていく。ボトムアップで細部を解明していく姿勢こそ必要です」

 現場の責任を追及すれば「トカゲのしっぽ切り」だけに終わってしまうのではないか、という危惧がある。政府・与党が「森友学園問題は、政治家や官邸は関与しておらず、財務省理財局が主導した」という形で幕引きを図っている、と語られているだけに現場の末端だけに責任を押し付けることにならないだろうか。

 東さんは「なるかもしれません」とあっさり言う。「でも大事なのは未来です。今回の件でしっかり処罰しておけば今後の抑止力になります。いざとなったらしっぽを切られる、自分たちは守ってもらえないと官僚が気づけばいい。官僚の体質が変わって、自分たちの仕事を国民が見ていると思うような状況をつくることが重要なのです」

 倒閣運動だけに終わるのか、それとも官僚組織を変えるきっかけになるのか。この国は岐路に立たされているのかもしれない。


 ■人物略歴

あずま・ひろき

 1971年、東京都生まれ。東京大大学院博士課程修了。99年「存在論的、郵便的」でサントリー学芸賞。2010年「クォンタム・ファミリーズ」で三島由紀夫賞。17年「ゲンロン0 観光客の哲学」で毎日出版文化賞。

2018年4月 8日 (日)

鉄道会社のアプリと列車位置情報

3月下旬に「西武線アプリ」がリリースされました。鉄道会社の公式アプリは、最近は「列車位置情報」を参照する機能がほとんどについています。国交省が音頭をとって推進しているからですが、西武のそれはほかとはちょっと違ってました(^◇^;)

西武線は池袋線も新宿線も、さまざまな種類の編成が走っていて、同じ形式の編成でも、さまざまなラッピングがされているんですが、いま走っているのがどの編成のどのラッピングか、というのがわかるようになってます。

▼西武

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列車のアイコンをタップすると、詳細画面はこのように。どこそこへ行くのにどの編成で、というのは意識することはないはずので、ほぼ趣味的? とはいうものの、よく頑張って作ったな、と思います。

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他社では、せいぜい抽象的な図形に列車の種別が表示されている程度。

▼阪急

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▼京急

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▼京王

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▼小田急

Odakyu

▼東武

Tobu

▼東京メトロ

Tokyometro

▼東急

Tokyu

▼JR東日本 (山手線)

Yamanotesen

▼JR東日本の首都圏以外 (PC)

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関東の大手私鉄では、京成と都営がまだです。

関西でも、阪急、阪神などで導入が始まっています。

▼JR西日本

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▼近鉄
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以上、みたままでした。

ところで、画像をぺたぺた貼っただけのこのページ、実は最新のテクノロジーで作られていたりします。それについては別の記事で。

2018年2月24日 (土)

【きょうの調べ物】旧・飯田橋労働基準監督署

中落合のお宅、以前はなにかのご商売をしておられたもの見受けられます。

▼軒先に3つの門標。上から2番目はよく見かける家屋調査済証。上は「青色申告研究会会員」、下は「飯田橋労働基準推進会 会員章」とあります。

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「労働基準推進会」というのは、おそらくは労働基準監督署の関係団体で、このお宅のご商売も、使用人を雇ってのものだったのでしょう。ネットで検索しても、しかとした答えは見当たらないのですが、この団体の前身のひとつではないか、と推測しています。

中央労働基準協会支部 | (公社)東京労働基準協会連合会 
http://www.celsa.or.jp/

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「飯田橋」というと職安(公共職業安定所)が浮かびますが、労働基準監督署もあったのか、と思われ調べてみると、現在は存在しません。新宿区を管轄する労働基準監督署は東京労働局管下の中央労働基準監督署で、飯田橋(飯田橋合同庁舎=文京区)に所在します。

労働基準法の施行まで遡ると、飯田橋労働基準監督署が文京区にあって、新宿区、文京区を管轄しています。中央署は中央区にあって、中央区、千代田区、大島、小笠原島、三宅島、八丈島を管轄するとあります。

▽労働基準法施行規則 別表第三 (官報 昭和22(1947)年8月30日号外)

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その後、中央労働基準監督署が中央区から千代田区に移転。

▽労働基準法施行規則を改正する省令 (官報 昭和27(1952)年11月1日)

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小刻みに改正されていた別表第三が、2年後に一新されました。中央署、飯田橋署とも記載内容に変更はありませんが、中央署が管轄する小笠原島が手書きで消されています。

サンフランシスコ平和条約の発効(1952(昭和27)年4月28日)から、変換された1968(昭和43)年6月26日まで、日本の施政権が及ばなかったことを示すものでしょう。後に訂正されています。

▽労働基準法施行規則を改正する省令 (官報 昭和29(1954)年7月15日)

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▽正誤 (官報 昭和29(1954)年12月27日)

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1989年に飯田橋労働基準監督署は廃止され、中央署に引き継がれました。このとき、中央署の管轄は「中央区、千代田区、大島町、八丈町、利島村、新島本村、神津島村、三岳村、御蔵島村、青ヶ島村」とあり、小笠原がありません。

小笠原の復帰にあたり、当時の自治省に小笠原総合事務所が設置され、労働基準監督署が鑑賞する業務を含む行政事務を統括することになったためです。小笠原総合事務所はその後旧・国土庁に所管が移り、中央省庁再編により現在は国土交通省の管轄になっています。

▽労働基準法施行規則の一部を改正する省令 (官報 平成元(1989)年3月31日号外)

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その後、中央省庁再編で労働省が厚生労働省になると、労働基準監督署の設置に関する規定も、労働基準法(労働基準法施行規則)から、厚生労働省設置法(厚生労働省設置規則)に移り、現在に至ります。

▽厚生労働省施行規則 別表第四 (官報 平成12(2000)年8月14日号外)

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・・・と、飯田橋労働基準監督署の過去をひもといてみたものの、やっぱりなんの役にも立たない情報でした。

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厚生労働省 東京労働局
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/home.html

労働基準監督署
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/kantoku.html

国土交通省 小笠原総合事務所
http://www.mlit.go.jp/ogasawara/syoukai/syoukai.htm



2018年2月17日 (土)

【毎日新聞の切り抜き】「何人死んだんだ」が示す冷酷 想像力欠く政治家発言が差別をあおる 沖縄、福島 本当に人ごとか

毎日新聞の切り抜きです。
松本文明は東京7区だが小選挙区では当選したことがない(比例で復活)。
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【関連リンク】
6.隆子ちゃん事件(1965/読谷村)-トレーラー投下による少女圧殺-
1965年6月11日 読谷村で米軍のトレーラーが落下し小学生死亡
(沖縄県公文書館)
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「何人死んだんだ」が示す冷酷 想像力欠く政治家発言が差別をあおる 沖縄、福島 本当に人ごとか

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 初耳の読者も多いのではないか。恥ずかしながら、記者も近年まで知らなかった。でも沖縄では、米軍基地がもたらした悲惨な事件として語り継がれてきた。

     1965年6月11日、沖縄・読谷村。米軍輸送機からパラシュートで投下されたトレーラーが、自宅の庭で遊んでいた小学5年、棚原隆子さん(当時11歳)に落下、圧死させた事故だ。昨年、沖縄で相次いだ米軍ヘリの部品落下事故で、この悲劇を思い出した県民も多かったはずだ。

     隆子さんを知る人が永田町にいた。沖縄選出の参院議員、糸数慶子さん(70)である。「小学校や保育園へのヘリの部品落下を知って、私も真っ先に隆子ちゃん事件を思い出しました。一つ間違えば、子供たちの命が危うかったのですから」

     当時高校生だった糸数さんの家は、読谷村で雑貨店を経営していた。「隆子ちゃんの家は隣の地区なんですが、歩いて行ける距離で、お母さんも隆子ちゃんもよく買い物に来てくれて。彼女の顔はパッと思い浮かぶ。今、思い出しても涙が出ます」。事故を報じた毎日新聞の同年6月12日付朝刊の記事は、米軍師団長が棚原さん宅を訪ねたが「家族が半狂乱のため、面会できずに帰った」と結ばれている。

     「59年には米軍機が小学校に墜落し、児童11人が亡くなった事故があったし、他にも住民が犠牲になる事故は起きてきました。米兵の犯罪も後を絶たない。そこで飛び出したのが、あの発言です」

     1月25日の衆院本会議で、米軍ヘリの部品落下事故を巡る共産党・志位和夫委員長の質問中に発した自民党の松本文明副内閣相(当時)の「それで何人が死んだんだ」のヤジのことだ。「副大臣どころか、議員失格です。ならば、沖縄県民は何人死ねばいいんですか。言いたくはありませんが、自分の家族が同じような悲惨な目に遭っても、同じことが言えますか」

     こんな疑念も浮かぶ。あの発言、松本氏の個人的な資質にとどまる問題ではなく、日本社会は多かれ少なかれ、似たような感覚を共有し、沖縄を冷淡に見てきたのではないか?

     ある記事を紹介したい。朝日新聞の2月6日付の夕刊社会面(東京本社発行紙面)である。隊員2人が痛ましい死を遂げた佐賀の陸上自衛隊ヘリの墜落事故を巡り、住民が沖縄の米軍ヘリ事故を念頭に、こんな感想を漏らした。「沖縄であがんことがあっても、遠隔地で気にしていなかった。安心して住まれんね」

     「沖縄では、過去も今も米軍機やヘリが事故を起こしている。住民に犠牲者も出てきた。でも遠隔地・沖縄だから関係ない、と。これこそ多くの日本人が共有してきた意識ではないでしょうか」と喝破するのは、東大教授で哲学者の高橋哲哉さん(61)。日本人が「日米安保は必要だ」と考えるなら、その前提となる米軍基地は本土こそ引き受けるべきだ、と訴えてきた。

     「『関係ない』という意識が沖縄からはどう見えるか。これを見てください」と示されたのが、2月3日付の地元紙・琉球新報。安倍晋三首相が2日の衆院予算委の答弁で、沖縄の基地負担が減らない要因について、初めて「移設先となる本土の理解が得られない」ことを挙げた、と1面トップで報じた。

     「沖縄だって基地を『理解』したわけではない。でも沖縄には基地を押し付け、本土は『理解が得られない』から押し付けない。これこそ差別ではないか。沖縄の怒りの根源がここにあります」

     少数派の沖縄に基地を置いて日米安保の「恩恵」だけは受けながら、圧倒的多数派の本土に基地問題の当事者意識はない。「想像力の欠如でもあります。多数派は、自分が少数派になったり、犠牲になったりするかもしれない、ということを考えない。これは福島の原発事故後も、原発再稼働を求める政治家や世論にも言えることです」

     振り返れば、福島の原発事故でも2013年、自民党の高市早苗政調会長(当時)が講演で「原発事故による死者が出ている状況ではない」と述べ、後に撤回した。津波の被災者を含めて避難中の体調悪化などが原因の震災関連死は、福島県だけで2000人を超える。やはり「遠隔地」である福島の原発事故の実相は人ごと、ということか。電力の恩恵は享受するが、事故のリスクは遠隔地で、という構図は、基地問題と同じである。

     「これらの暴言・失言からうかがえるのは『仮に死者が出ても大したことはない』という意識ではないでしょうか。少し前の話ですが……」と高橋さん。

     久間章生・元防衛相はかつて、有事法制を巡り「90人の国民を救うために10人の犠牲はやむを得ないとの判断はあり得る」(03年6月30日付朝日新聞朝刊)と発言した。

     「問題は、この10人はだれか、です。為政者は、自分を生き残る90人にカウントするでしょう。では国民は、自分や家族をどちらに入れるのか。犠牲になる10人に入ることを為政者に認めた人はいるのでしょうか」

     高橋さんの問いに、即答できる人はいるのか。「何人死んだ」といった言葉の後ろに横たわる空気は、犠牲になる「10人」を他者に求め続けてきた私たちが醸成したのではないか。

    原発事故、基地問題対応に投影

     もう一つ、気になることがあった。米軍普天間飛行場の辺野古への移設の是非が問われた4日の沖縄・名護市長選、移設反対を掲げた前市長陣営を「反日」などと中傷する言説が飛び交った。自民党の山田宏参院議員はツイッターで「親中反米反日勢力」とまで記した。

     米軍の事件・事故を起こしたのは、中国ではない。沖縄県民の生活や生命を脅かす事件・事故を「反日」というならともかく、「悲惨な事件をなくすため、基地を減らしたい」(糸数さん)という訴えが「反日」らしい。山田議員の事務所にツイッター投稿の趣旨について取材を申し込んだが、多忙であることを理由に応じなかった。

     「先月も沖縄で米海兵隊ヘリの部品が落下した保育園の園長に会ってきました。被害を訴える保育園には今も『反日』だの『非国民』だのという迷惑電話やメールが来ているそうです。実は福島も同じで、原発に反対する被災者らに『反日』という言葉が投げつけられている。今の日本は、被害者を『敵』とする風潮が生まれているんです」と首を振るのは、沖縄、福島で取材を重ねてきたジャーナリスト、安田浩一さん(53)だ。

     おさらいすると、沖縄の米軍基地の大半を占める海兵隊は、もとは本土に駐留していた。しかし米軍の事件・事故が相次ぎ、本土の反基地感情が高まった57年以降、米施政下の沖縄に移った。

     当時の本土の空気感を示す国会議事録を見つけた。例えば54年8月2日の参院文部委員会。後に佐藤栄作内閣の文相を務める自由党(自民党の前身)の剱木(けんのき)亨弘(としひろ)氏が、大阪市立大などを接収して駐留する海兵隊について述べていた。

     「海兵隊駐留後は演習で騒がしいし、風紀上の事件も発生し、女子学生は毎日心配して登下校している。市内の小学校の授業にも影響が出ている」ことなどを理由に海兵隊の移駐を求めた。こうした自民党の先達も「反日」なのか。

     「沖縄や福島だけではありません。反原発運動にも『反日』といった物言いがなされる。国や政府に逆らうのは『敵』なのでしょう。理由は判然としない。ただ言えるのは、街頭での差別デモは、法整備が進んで確かに力を失いました。でも、同じように沖縄や福島、隣国や在日外国人、弱者を差別する言葉は日常生活で交わされるラインに近づきつつある。それを後押ししているのが文化人や政治家の暴言です。これは罪深い。彼らの言葉が、差別や被害者の命を『何人死んだんだ』と切り捨てる冷酷さを正当化させることになりかねません」(安田さん)

     二つの地域に向けられる為政者の視線にこそ用心したい。犠牲となる「10人」には、だれだってなりたくない。

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 <担当記者から(吉井理記)>

 

 副内閣相だった松本文明衆院議員の「何人死んだ」発言が気になっていた。一政治家の失言で済ませて良いのか。識者とともに手探りした。先月死去した野中広務氏は1960年代、初めて沖縄を訪れた。そこで日本軍に妹を殺されたタクシー運転手に出会い、衝撃を受ける。回顧録「老兵は死なず」に記されたエピソードだ。安倍晋三首相は「戦後レジーム脱却」を唱える。松本氏ら自民党議員の沖縄に対する物言いをたどると、沖縄が強いられてきた犠牲の記憶からも脱却したいのか、とすら思えてくる。米軍基地だけは沖縄に残したまま、で。野中氏の死去は、松本氏発言の翌日であった。

 

 

2018年1月 8日 (月)

【きょうの調べ物】1972年の年賀切手とお年玉切手シート

知人に教えてもらった、今年の年賀はがきにまつわること。

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(公財)日本郵趣協会の2017/11/3のツイートhttps://twitter.com/kitteclub/status/926280784041988096

イヌのフジさんの年賀はがきには、犬の鼻に「フじ」(富士)の文字が隠されています。消印の犬の足跡の爪には「FUJI」(富士)があり、下の部分にはマイクロ文字で「あけましておめでとうございます」が隠されています。

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うーん・・・・・・・・・見えん。老眼と近眼の合わせ技では、この程度のルーペではどうにもなりませんでした(^_^;) 皆さま、お確かめください。

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ここでふと気づいたこと。昨年6月に郵便料金の改定があり、第二種郵便物(はがき)は、52円から62円に引き上げられました。ただ、年賀特別郵便(年賀はがき)については52円に据え置かれました。今年限りの激変緩和措置というわけではなく、今後もそのようになるようです。

このように、通常の料金と年賀状の料金が異なる、ということで思い出したのが、1972(昭和47)年の年賀切手とお年玉切手シートです。

この年の2月1日にも郵便料金の改定があり、はがきは7円から10円に引き上げられました。年賀切手は前年の12月に発売され、このときの額面は7円です。

お年玉切手シートは、抽選日が1月15日、20日から引き替え開始です。で、はがきの料金の引き上げを控えているということで、お年玉切手シートは額面10円で作成されました。額面10円の「年賀切手」が、当選者しか入手できないとなると公平を欠くということで、一般にも発売されました。

そういう経緯で、1972年の年賀切手は、額面の異なる2種類が存在するのです。実際には、額面10円の年賀切手は、年賀状の用途には使われなかったと思うのですが…

▼前年(1971/12/10)に発行された年賀切手(額面7円)

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▼1972/1/11に発行された「年賀」切手(額面10円)

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▼お年玉切手シート (1972/1/20から引き替え)

20180108_052002

http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000004091/
http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000004092/
http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000003652/ct287/page1/recommend/

その例で行けば、今年も年賀状は52円、通常は62円と、料金が異なるので、もしかしたらお年玉切手シートは額面が62円になるのか? と思ったのですが………

………意外に年初の郵便料金改定は、その後も何回もありましたが、お年玉切手シートが改定後の料金の額面で作成されたことはありませんでした。

1976(昭和51)年1月25日 (10円→20円)
http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000004096/
http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000003656/ct287/page1/recommend/
年賀切手もお年玉切手シートも額面は10円。

1981(昭和56)年1月20日 (20円→30円)
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年賀切手もお年玉切手シートも額面は20円。

1994(平成6)年1月24日 (41円→50円、62円→80円)
http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000004124/ct286/page1/recommend/
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年賀切手もお年玉切手シートも額面は41円+62円。

したがって、今年もそのようなことはないようです。どうしてそのような経緯になったのかわかりませんが、1972年だけのことのようです。

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これらのことを調べていて初めて知ったのですが、通常のはがきと年賀状とで料金が異なる、というのが以前にも、しかも割りと長い間存在したのでした。

1951(昭和26)年11月1日に郵便料金が改定され、はがきはそれまでの2円から、通常は5円、年賀は4円に改定されました。そして、1952(昭和27)年の年賀状に限っては2円に据え置かれたのです。この料金は、1966(昭和41)年7月1日の郵便法改正ではがきの料金が7円に引き上げられるまで続きました。

▼1952(昭和27)年の年賀はがき (額面は2円)

20180108_055741

▼1953(昭和28)年と1954(昭和29)年の年賀はがき

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右の1954年用の年賀はがきには、「12月14日以前、1月11日以後に差し出すとき、年賀状としないときは1円切手を貼り足せ」との注意書きがあります。

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以上、きょうの調べ物、でした。

https://twitter.com/kitteclub/status/926280784041988096https://twitter.com/kitteclub/status/926280784041988096https://twitter.com/kitteclub/status/926280784041988096

2017年12月31日 (日)

大掃除で発掘された小ネタ

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1990年頃の葛西臨海公園のチラシ。この頃東京03の電話番号は、9桁と10桁が混在していたなー、というのを思い出しました。9桁が一斉に10桁に切り替えられたのは、1991年の元日でした。年またぎのテレビ番組で、繰り返し告知していたのを記憶しています。

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1994年頃の豊島プールのチラシ。豊島プールは老朽化により2000年に休止、その後廃止。現在は南長崎はらっぱ公園に。

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ハイルバードは、西落合にあった健康ランド。2004年頃に閉店。現在は、光学機器を扱う会社が使っています。建物(外観)は当時のままなので、中がどうなっているのか、いつも気になってます。

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中野区立江古田児童館のチラシ。江古田児童館は2010年までに廃止。跡地は保育園になりました。

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2010年に廃止された慈正会病院のパンフレット。病棟の増築工事の途中で経営が行き詰まり、ながらく放置されていた記憶があります。現在は別の法人が事業を継承し、総合東京病院になっています。

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1994年12月の秋葉原の電気店案内図。まさに秋葉原が電器の街だった時代の最後の頃。いちいち比較するのが難しいぐらいの変貌ぶり。



2017年10月28日 (土)

【錦糸町界隈】鎮守稲荷が復活

2014年1月に書いたもの。

【錦糸町界隈】鎮守稲荷大明神
http://egotadp.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-38b0.html

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その後、稲荷を含む周辺の店舗が取り壊され、相鉄系のホテルが建設。まもなく完成の見込み。そして、きょう通りかかったら、鎮守稲荷が復活してました。

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2017年8月30日 (水)

今週の日経ビジネス

今週の日経ビジネス。日本の漁業を特集しているが、生産者批判に終始。冒頭の例示から違和感。魚価の高騰により500円ランチにする魚の調達に苦労している、提供できる魚の種類が限られてくる、と。

ただ、この店舗がさくら水産天王洲店。文中にもあるとおりオフィス街に立地する店舗。こうした立地の店舗で「500円ランチ」を売りにすることに、そもそもの違和感。安定した収入のある人が客層の大半を占める店舗であれば、品質にこだわったりや多様な選択肢を提供するなど、低価格のメニューに頼らずとも打つ手はいくらでもあるはず。

生産者に対する応分な負担、といった消費についての考え方の転換がなければ、いつまでたっても安値で買いたたく、という構造から抜け出すことはできないはず。

傍観者の立場で、一見独善的に見える、あるいは、前近代的に見える生産者の在り方を批判するのはたやすいが、消費者や流通過程(特に小売り、特にスーパーや外食)の現状を問題なし、と前提するならなんと皮相な特集だろうか。

http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbo/base1/index.html?xadid=001

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https://www.sakusui.jp/shop/detail.html?shop=063

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2017年8月16日 (水)

【毎日新聞】 ウラから目線 女性、男性、その他=福本容子

引用元はfacebook(8/16)

https://www.facebook.com/mochizuki.kazuo/posts/1026411707495860?pnref=story

引用ここから「

ウラから目線 女性、男性、その他=福本容子

毎日新聞2017年8月15日 東京夕刊

 誘惑に負け、ついにアップルウオッチを買ってしまった。米アップル社の製品で、腕時計というよりスマートフォンが腕時計になった感じ。

 ワクワクしながら初期設定をしていてハッとした。自分の性別を選ぶところで、選択肢の順番が女性先、男性後になっていたのだ。半世紀以上の人生で初の体験かも。

 それにしてもなぜ今まで、疑問に思うことなく2番目に○をしてきたのだろう。少なくとも日本では女性が過半数。たまに1番目があっても罰は当たらないはずだ。何万回と繰り返すうち、「女性は2番目」が脳に刷り込まれてしまったみたい。

 驚きはそこで終わらなかった。性別の選択肢に3番目があったのだ。「その他」。「女性」も「男性」も選びたくない人たちのためなのだろう。「同じ立場の人たちを励ましたい」と、自分が同性愛者であることを公表した最高経営責任者がいるアップル社らしい。

 でもアップルだけじゃなかった。

 カナダでは今年、役所が親の希望に応える形で、生後8カ月の赤ちゃんに、性別を記さない健康保険証を初めて交付したそうだ。

 英国では、ミスター(Mr=男性)、ミセス(Mrs=既婚女性)、ミス(Miss=未婚女性)、ミズ(Ms=既婚女性でも未婚女性でも)に加え、最近ミクス(Mx=誰でも)の使用が増えているという。

 米国のハーバード大学は、入学した学生が学生登録をする時、どの代名詞で呼ばれたいか選んでもらっている。選択肢には、「he(彼)」、「she(彼女)」に加え、中立的な「ze」という新しい単語も。通常複数形(彼ら)で使われる「they」を1人の人に対して使うことも可だ。他の大学でも動きが広がっている。

 その点、日本語は便利。「様」や「さん」は男女関係ないし、いちいち「彼」とか「彼女」とか代名詞を使う必要もない。世界の先端。ここはもう一歩踏み込んで、何の疑問もなく日々繰り返される「男」「女」の性別選択をやめてみては?

 「女は2番目の性」という刷り込みと決別する意味があるし、女か男かの枠にはめられたくない人たちの苦痛を和らげることもできそう。

 まずは問いかけることから始めたい。その性別欄、本当に絶対に必要ですか?(論説委員)

」引用ここまで

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